■お札に見る、京都風、東京風
普段お財布に入っている1000円札。
よく見ると1000円札の表裏両面にはんこの印影が
押されてるのをご存知でしょうか?
表側(夏目漱石側)には、「総裁之印」、
裏側は「発券局長」の文字があるのがお分かりになるでしょうか。
どちらも同じような印影に見えますが、
実は表側(夏目漱石側)は「京印章」、裏側は「東京」風の文字なんです。
どう違うの?って思われると思いますが、けっこう違うんです。
二つの印影はどちらも「てん書体」という書体で作成されています。
その「てん書体」の中でも表側(京印章)は「印てん」、裏側(東京風)は「小てん」という
それぞれ違う時代に考案された書体なのです。
「印てん」(京印章)は、中国の漢の時代に印章用に考案され、
印章最盛期の作風を受け継いでおり、すっきりとした伸びやかな線が特徴です。
「小てん」(東京風)は、中国の奏の時代の小篆作風を受けており丸みのある曲線が特徴です。
普段なにげなく使ってるお札のはんこに東京風、京印章と違いがあると思うと、日本は印鑑の国だなぁと思わずにはいられません。
■象牙のお話
TV報道で戦時中のものと思われる象牙の印鑑が海中から発見されたというニュースが報じられました。
何十年もの間、海水に浸っていたにもかかわらず、まったく無傷で
使用可能な状態だったそうです。
天然素材の中でもこれほど耐久性を持つ素材は他にはないでしょう。
多少高価ではありますが、数世代にも渡って使用できる印鑑こそ本当の価値があるのではないのだろうか。。。と思うそんな出来事でした。
■牛角(オランダ水牛)はなぜオランダ水牛っていうの?
現在オランダ水牛という名前で販売されている印章店もあります。
名前の由来は、
1:昔はオランダ物資の集積地であった
2:鎖国時代に交易していた国がオランダで当時の日本人は外国から入ってきたものはすべて「オランダもの」といっていたとのこと。
等、いろんな説があります。
しかし、現在になってオランダ水牛の名前を正式な名前で呼ぼうという動きが広まり、
現在は「牛角」と変更するよう決まりました。
当店でもオランダ水牛のことを、牛角と呼んでいますがまだまだ認知度はオランダ水牛が浸透している為、どちらも表記しています。
■めずらしい印材の話
ここ最近では、愛知万博で有名になった「マンモス」。
愛知万博の頃の冷凍マンモスが話題になったころに、お問い合わせや、ご注文が多くありました。
展示するくらい希少なものなのに、販売してるの?って思われる方もおられるかもしれませんが、
案外販売用に出回っているのです。それは、愛知万博で展示されていたように肉体が残ってることは大変めずらしいのですが、マンモスの牙だけが発掘されることは案外あるのです。
その発掘された牙をロシアなどから日本が印材として輸入し、印章業界に供給されているのです。
お値段としては、象牙より少し安く、牛角(オランダ水牛)よりは少し高い値段ですが、
丈夫さは、やはり象牙の仲間というだけあって丈夫です。
ただやはり、純白の美しさ、きめの細かさなどを比べると
どうしても若干劣ってしまうかもしれません。
現在でも人とちょっと変わった印材がご希望のお客様に人気があります。
(福知山店や綾部店にはマンモスの印鑑用の印材をご用意しています。もし、興味のある方はぜひどうそ!)
また、当店では販売していないのですが「鯨」の歯を印材として使用することもできます。
以前の捕鯨が禁止される前にはたま~に見かけたことがありましたが、鯨の歯は小さい為印鑑として使える大きさはなかなかありません。
鯨の歯はとっても硬く、丈夫ですが、手彫りで彫るのは印刀が折れてしまうので機械彫りでないと無理です。
*当店では鯨の歯の印材は取り扱っておりませんが、鯨の歯に彫刻を施した置物をおいています。
他にも、イノシシの角とか、備長炭、水晶などもありますが、どれも印材としては、短すぎたり、硬すぎて機械彫りでないと無理だったり、欠けやすいので印影がすぐにダメになってしまうものなど、あまり実用的ではありません。
*また、当店でも店舗のみ取り扱っている羊の角(シープホーン)も珍しいですが、羊の角は芯がなくアメのように柔らかいため、繊細でかけやすいため保存、所持に気をつけていただく必要があります。
そうなるとやはり、一番印鑑に適している印材は天然素材の象牙、黒水牛、牛角(オランダ水牛)、柘植(ツゲ)などが皆様に慕われている印材が一番適していることがわかります。
普及しているのには、ちゃんとワケがあるんですね。